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地質教材研究
「足羽三山の地質と笏谷石(しゃくだにいし)について」

吉澤 康暢
福井県教育研究所研究紀要,第69号,111-118貢,1976年3月別冊に加筆補填

 

U 足羽三山の地質

 

 足羽三山の層序は、第1表に示すように、火山層序学的に7つの火山岩層に区分される。すなわち、下部から順に、安山岩類、門前凝灰岩層、笏谷凝灰岩層、不動明王凝灰岩層、小山谷凝灰岩層、兎越山安山岩層、八幡山安山岩である。以下各火山岩層について簡単に説明する。また、これらの岩層を観察するのに最適の観察地点を第4図に、地質図を第5図に示す。

 

第1表 足羽三山の層序

 

(1)安山岩類
 足羽山と兎越山の一部に露出し、足羽三山の中で最下部と考えられる。主として暗緑色で緻密な輝石安山岩の溶岩と同質の凝灰角礫岩からなる。兎越山の方は、普通輝石の斑晶が多く、結晶は大きいのが特徴である。

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(2)門前凝灰岩層
 岩相的に上部と下部に区分され、兎越山および足羽山では下位の安山岩類を不整合に被ふくしている(第5図)。下部は凝灰角礫岩が、上位に火山円礫岩ないし凝灰質礫岩がある。礫種は安山岩、石英安山岩が主で、礫径は平均10〜30cm、最大1m50cmである。上部は、凝灰質砂岩、凝灰質泥岩、粗粒凝灰岩、細粒凝灰岩の互層から構成されている。そして、層理、葉理が良く発達しており、これに沿って岩石が1mm〜10mmの薄板状にわれる。その特徴からみて本岩層は湖成堆積物と考えられる。

 

第5図 兎越山の観察地点35のスケッチ

 層理面では流痕、底痕、荷重痕、フレーム構造(第6図)などの堆積構造が良く観察される。また植物化石の破片も採集できる。特に観察地点37は地層の走向傾斜の測定実習に最適の場所である。(第7図)

 

第6図 観察地点37にみられるフレーム構造

これはダミーです。後で実写写真に差し替えます

 

第7図 観察地点38にみられる斜交層理

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(3)笏谷凝灰岩層
 全体として石英安山岩質で足羽山の主体を構成している。下部には火山礫凝灰岩、凝灰岩および凝灰角礫岩の互層がくる。凝灰角礫岩には葉理の発達するところがあり、角礫には軽石を含み、布ケ滝火山岩層の石英安山岩溶岩の15〜20cmの角礫も入っている岩層である。上部は淡緑青色ないし灰紫色の火山礫凝灰岩の厚層で、古くから笏谷石(越前青石)として採掘されてきたものである。現在採掘している縦坑の一番深い所は地下約100mで、それ以深については不明であるが、本岩層の層厚は約100mと考えられる。この塊状にみえる火山礫凝灰岩も数回の堆積サイクルがみられる。全体としては陸上に流れ出した石英安山岩質の火砕流堆積物と考えられるが、サイクルの境界には粟オコシ状の軽石の水底堆積物が薄層をなして入っていて、これを境にして岩質が変化している。

 

笏谷凝灰岩の表面拡大写真(小さな火山礫がみられる)

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(4)不動明王凝灰岩層
 本岩層は層理と級化がみられ、水底堆積物と考えられる。細粒凝灰岩、粗粒凝灰岩、火山礫凝灰岩の10〜50cmの互層である。地層の走向・傾斜の測定実習に適している。露頭スケッチを第8図に示す。

 

第8図 観察地点27不動明王の上の露頭

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(5)小山谷凝灰岩層
 石英安山岩質の溶結凝灰岩である。石基は暗緑色ないし茶褐色を呈し、茶色ないし白色のつぶれた岩片と長石の斑点状の微晶が目立つ。西墓地周辺および加茂河原町の山塊では、笏谷凝灰岩層を直接被ふくし、下位の岩層とは不整合的である(第9図、第10図)。この溶結凝灰岩の硬い岩石の露頭は非常に少なく、ほとんどが深層風化し赤色化している。風化面は全体としてのっペりした塊状であるが、注意深く観察するとつぶれてレンズ状を示す火山ガラスが良く観察される(第11図)。

 

第9図 観察地点11,弘法大師堂西側下の墓地

 

第10図 観察地点8,瑞源寺の西側露頭

 

 

第11図 観察地点10,慈母観音堂付近の溶結凝灰岩

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(6)兎越山安山岩層
 本岩層は輝石安山岩からなり、兎越山の山頂都をおおうように分布しており、門前凝灰岩層を不整合に被ふくしている。非常に風化がすすみ、赤色化している。特に、玉ねぎ状風化が顕著で、この玉ねぎ状の芯の所だけに硬い岩石が残っている(第12図)。

第12図 観察地点33における玉ねぎ状風化

↑後で実写写真に差し替えます

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(7)八幡山安山岩
 八幡山は全山同一の岩石でできている。淡緑色を呈し、非常に硬く、角閃石の針状の結晶の目立つ角閃石安山岩である。昔は「西谷石」とよばれ、石垣用の石材として採掘されていた。現在八幡山の南に位置する舞屋で露天ぼりされている「舞屋石」と同質のものである。八幡山各所の道路ぞいの石垣はこの岩石を使用している。兎越山の南東端では門前凝灰岩層をつらぬき(第13図)、その中にゼノリスなども観察される(第14図)。これらのことから、八幡山は全体が大きな貫入岩体でストック(岩株)であると考えられる。また、岩石の風化や土壌のようすは教科書的で、土壌化している部分には、酸化の程度や鉄分の含有量のちがいによって、濃い紅色を呈する部分もみられる。兎越山南東端の観察地点43の旧採石場の大露頭では、黄鉄鉱や「武石」の結晶が採集できる。

 

第13図 観察地点45・46の露頭スケッチ

 

第14図 観察地点44にみられるゼノリス

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